ご自宅の省エネは、“熱”を見直すことが近道です。暮らしのコストが変わるかもしれませんよ。
冬、それは、光熱費に恐怖する季節……。雑誌やWEBなどでお馴染みの“家電王”こと中村剛さん(東京電力エナジーパートナー)のナビで、知ってトクする省エネ豆知識を学んでいきましょう!
おうちのエネルギー問題、ココが盲点!
アリススタイル(以下ア)はぁ~、今シーズンも電気代とガス代、厳しそう(汗) 家電王、節電のコツってありますか?? 次の冬に活かしたいです……。 ​ 中村(以下中)そうですね、細かいスイッチのオン・オフに気を配るのも大切ですが、一度「光熱費」という大きな枠組みで考えてみるのはどうでしょうか。 ​ 家庭でのエネルギー消費を大まかに分類すると、冷暖房に約3割・照明や家電に約3割が使われています。この2つと同程度の高いウェイトを占めるのが、給湯に必要なエネルギーです。
(中)そして「月々の光熱費をおさえる」という視点で言えば、ガスでお湯を作るより電気を利用したほうが効果的です。 ​ (ア)そうなんですか! ​ (中)はい。電気による効率的な給湯システム=家庭用ヒートポンプ給湯機は「エコキュート」という愛称がつけられ、2001年の販売開始以来ゆるやかにシェアを伸ばしています。2018年6月末の時点で、累計出荷台数が600万台に達しました。 ​ ガス給湯からエコキュートへの切り替えはお手軽ではないんですが、知識としてふまえておくと将来的な選択肢が増えるかと思います。 ​ (ア)さすが、東京電力の中の人(笑) ​ (中)……よいところも課題点も、頑張ってお伝えします(笑)
仕組みは「お湯をつくるエアコン」!?
(中)エコキュートの構造はエアコンと多くの共通点があります。エアコンは、室内機と室外機がセットですよね。温度調節の原理は、二カ所間での熱の交換・移動です。
(中)暖房運転では、冷媒を圧縮することで大気中の熱エネルギーを取り込み、室内の空気を暖めます。 ​ これが「エアコンで部屋が暖まる仕組み」。ヒートポンプ、つまり“熱”を“くみ上げる”方式ですね。ゼロから熱をつくるわけではないので、効率がいいんですよ。 ​ (ア)……ふ、冬は寒いのに、外に熱なんかあるんですか?? ​ (中)はい。熱というか“熱エネルギー”の交換・移動です。いわゆる絶対零度で物質が凍りついて停止するまでは、必ず熱エネルギーが存在していますから。現に、エアコン暖房は、北海道や東北など冬場マイナス10℃を下回る地域でも問題なく稼働しますよ。 ​ (ア)そっかー。冷たいアイスクリームにもカロリー(熱量)があるようなものですね! ​ (中)うーん、どうでしょう(笑) エコキュートは、熱交換・圧縮を行う「ヒートポンプユニット」と「貯湯ユニット」と呼ばれる大きなタンクのセットで構成されています。
(中)電気ヒーターのみでまかなう給湯と比べると、消費電力は1/3程度に抑えられます。それだけ環境にも優しいということですね。効率よく熱いお湯を沸かして、保温性能のいいタンクにあらかじめ貯めておきます。 ​ (ア)熱湯を水で薄めて使う感じ?? ​ (中)はい。さらに夜間の電気料金が安いプランなら、夜に沸き上げ使うとき調整するこのシステムが充分に活きるでしょう。
エコキュートの“適材適所”
(中)エコキュートの導入には、いくつかのハードルがあります。まずは設置スペースの問題。 ​ コンパクトな貯湯ユニットもあるものの、集合住宅では後付けがむずかしいかもしれません。タンクは耐震設計なので、災害用水として活躍するというメリットもありますが。 ​ (ア)思いたったら取り替え、ってわけにはいかないんですね。 ​ (中)はい。夜間に稼働するため騒音トラブルに発展した前例もあり、設置場所は慎重に選びたいところです。そして「節約」という話題に戻ると、本体だけでも20万円~35万円ほどの初期費用がかかる点も、手軽とはいえません。
(ア)おお、けっこうするなぁ(汗) ​ (中)配管工事も必要ですしね。とはいえ、IHクッキングヒーターと合わせてオール電化にすればガスの基本料金が発生しないし、月々のランニングコストもかなり違ってきます。 ​ 実際、プロパンガスに頼っていた地域では、エコキュートの導入率が高い傾向にあります。 ​ (ア)へえ~! ​ (中)もちろん、ガスや石油の給湯システムもどんどん改良され、コストパフォーマンスもよくなっています。家族構成や日中の過ごし方・お湯の使い方、地域のガス料金次第で、ベストな選択は変わってくるでしょう。 ​ (ア)なるほど。 ​ (中)やはりちょっと「次の冬使える節電のコツ」というリクエストからは外れてしまいましたね……。 ​ (ア)いえいえ、今回もすっごく勉強になりました! ​ ​ ★★★ ​ ​ なんとなく名前だけは知っていたエコキュート。その正体は、リフォームや住み替えのタイミングで検討の余地アリの、とってもオトクなシステムでした。 ​ 次週後編は、実際の使い心地について深掘りしていきます。こうご期待! ​ ​ ★★★ ​ ​ 中村剛: 東京電力エナジーパートナー株式会社 販売本部 お客さま営業部 プロモーション・リサーチグループ 副部長。テレビ東京系列にて放送された人気番組「TVチャンピオン」のスーパー家電通選手権において2002年に優勝。2020年2月現在「くらしのラボ」などリビング・デジタルメディアも担当している。節電や家電について、わかりやすく実践的な解説に定評があり、多くのメディアに登場。 ​ ※FacebookとYouTubeにて「くらしのラボ」で検索して下さい。
​ ​ ​ ​ Source : 「家庭用自然冷媒ヒートポンプ給湯機“エコキュート”の 累計出荷台数 600万台突破について」 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 https://www.jraia.or.jp/product/heatpump/i_broke.html
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